風邪と漢方U (H17年2月11日掲載) |
前回は東洋医学の風邪の治療法についてお話しました。
少しあさらいをしますと、すべての病気に対してそうなのですが、風邪やインフルエンザに
おいても漢方薬は、病人の体質や体力と病気の進行状況や症状に応じて薬が変わってき
ます。つまり、それだけ体も病気も時間の経過と共に変化しているために、援助の仕方が
変わってくるのです。
例えば、風邪の初期症状では、頭痛・肩こり・くしゃみ・鼻水・咽痛・悪寒・発熱・関節痛など
の症状が出ます。
このように体の表面に近い症状を初期症状として据えています。
そして、体力もありインフルエンザのように発熱・関節痛や風邪症状が強い時には、麻黄湯
(まおうとう)を服用します。また、冬の寒い時期は、肩凝りやすく寒気や頭痛・鼻詰まりになり
やすく葛根湯(かっこんとう)を服用します。
共に発汗作用の強い漢方薬ですから、汗をかき過ぎないように注意しなければいけません。
少し軽い風邪症状でエヘン虫と咳の時には桂麻各半湯(けいまかくはんとう)がよく効きます。
寒気と透明の鼻水が多く、時にえずくような咳の出る時には小青竜湯(しょうせいりゅうとう)を
服用して下さい。
胃腸が弱くて風邪薬も飲みづらくすぐに風邪気味になりやすい人は桂枝湯(けいしとう)か柴胡
桂枝湯(さいこけいしとう)が良く合います。
しかし、風邪も数日経過すると、体の表面から気管・胃腸へと進行してきます。発熱が続い
たり口が苦くなり、咳も胸から出て粘った痰が絡んでくるようになります。食欲もなくなったり、
吐き気を伴う事もあります。
このような時の最高のお助け薬が小柴胡湯(しょうさいことう)です。
胸苦しく咳と痰の多い時には小柴胡湯に半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)を合わせて処方します。
この他にもこじれた時の風邪・胃腸風邪・治りにくい咳など、たくさんの風邪薬がありますの
でご相談下さい。
風邪の項もご覧下さい |
風邪と漢方T (H16年12月24日掲載) |
今年は猛暑に台風、地震と自然災害が次々とやってきました。また、師走とは思えぬ暖か
さで異常気象の影響はまだまだ続いていくのかもしれません。
自然災害といえばインフルエンザも同じです。人間はインフルエンザウイルスとの戦いを、
古代からずっと繰り返してきました。人によっては勝つこともあり、負けることもありました。
しかし、滅ぼすことはできません。免疫力のあるかないかが生死の分れ目になります。
近年、総合感冒薬にて風邪の諸症状を押えたり、ワクチンで早めに免疫力をつけておく
方法が取られております。しかし、これもインフルエンザウイルスとの相性が合わなければ
効果を発揮できません。
東洋医学においても、2000年以上昔から風邪やインフルエンザウイルスに対して、戦う
方法が考えられ、中国、漢の時代には張仲景によって医学書・傷寒論が書かれ、今もその
まま治療法が受け継がれております。
漢方薬は風邪や、その他の病気に対しても決まった薬を処方するのではなく、病人が病気
に対する抵抗力や免疫力を発揮できるための方法を考えております。
そのために、病気が同じであっても病人の体力や体質、病気の進行状況に応じて薬が違っ
てきます。
傷寒論は、そのような漢方薬の使い方を詳しく書いております。
例えば、風邪やインフルエンザによく使われます「葛根湯」は、「風邪の初期にて、うなじから
背中にかけて凝り、汗なく寒気がする者に使う」と書かれております。
また、反対に「桂枝湯」は初期にて頭痛、発熱、汗出て寒気する者に使う」と書かれておりま
す。
つまり、汗の出ない人と出やすい人では薬が違ってくるのが漢方薬なのです。その他にも
状況に応じて違ってきます。
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生態系と食物連鎖 (H16年11月26日掲載) |
地球上には様々な生き物が存在しております。微生物・植物・昆虫類・魚貝類・爬虫類・両生
類・鳥類・哺乳類と無数の生き物が存在します。
よくテレビでは大自然紀行となる自然界の不思議を放送しておりますが、生物のそれぞれの
生きざまを見ていますと生き残るための工夫があり、また、全く異なる生物との共存があります。
食物連鎖では、プランクトンを小魚が食べ、小魚を大きな魚が食べ、魚を鳥や人間など他の
生物が食べ、その死体や排泄物を微生物や植物が栄養源として、その植物は酸素を生み、
動物は他の動植物を食べながら酸素で呼吸をして二酸化炭素を排出しております。
このようにすべての生物が同じ地球上で共存しております。
人間の科学は進歩してきましたが、生命の神秘・自然界の法則や論理・宇宙との関わりなど、
自然界にはまだまだ解らない事、知られていない事がたくさんあり、自然の能力には及びませ
ん。見える物への研究は進んできましたが、それはほんの一部の事でしかありません。
見えない物はその何倍もあるのです。
人間の生命も自然界のサイクルのひとこまでしかありません。
東洋医学では、古人の知恵と経験により、自然の影響下にある人のバランスを陰陽虚実で
現わしバランスの悪さを病気として捉え、元にもどす事を治療と考えております。
漢方薬は自然界のすばらしい能力を持った動物や植物を原料としており、生態系の食物連鎖
の中で医食同源として助けられ共存していることが解ります。
地球温暖化など周りの環境は益々悪くなってきております。人間の生きるすべは、自然の法則
の中にあり、もう一度振り返って見る時ではないでしょうか。
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女性の敵 “しみ” (H16年9月24日掲載) |
今年は、猛暑と台風の数が共に観測史上最高と言われ、去年に比べ非常に男性的な気候に
なりました。年々、温暖化になりこれだけ荒れてきますと地球は本当に大丈夫なのだろうかと
心配になってきます。
人間の体も自然の変化に敏感でいろんな影響を受けております。地球の保護層オゾン層の
破壊により、昔よりも大量に紫外線を浴びるようになり、また、空気汚染など肌を傷める原因は
増加の一途をたっどております。
特に女性の肌は男性よりも薄く弱く危険にさらされております。
一般的にシミ、ソバカスは過剰なメラニン色素が生産されることによって生じます。
メラニン色素は紫外線や化学物質により発生した活性酸素に刺激によって生まれているよう
です。
この活性酸素は皮膚の老化だけでなく動脈硬化、癌などにも強い影響を与えております。
また、女性にシミが多いのにはもう一つの原因があります。
漢方ではシミの事を肝斑(かんぱん)と言い、肝機能による血液浄化作用や生理不順など月経異常
によって生まれたオケツ(血液中の不純物が顔面の毛細血管に溜まった結果だと考えられて
おり、肝臓や婦人病の漢方薬が効果を発揮します。
肝臓や女性ホルモンは自律神経の影響下にあり、非常にストレスを受けやすく睡眠不足や
イライラは特にお肌に悪影響します。
笑う角には福来たる、笑顔はお肌にも福よかなきれいな肌を作ってくれますので笑顔を忘れ
ないで下さい。
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アトピー性皮膚炎 夏型 (H16年8月27日掲載) |
季節の変わり目には夏の疲れと共に、季節の変化に対応しきれなくなり体調を壊すことがよく
あります。
特にアレルギー疾患、喘息やアトピー性皮膚炎、花粉症などに患いやすくなります。
アトピー性皮膚炎は近年非常に多くなり、お子さんの半数近くが何らかのアレルギー症状を持っ
ておられます。また、成人の多くの方にも見受けられます。
現在、いろんな原因が考えられております。自然環境や生活環境の悪化・食生活の欧米化・
農薬や食品添加物の増加・ダイオキシンなど環境ホルモンの氾濫と数え上げれば切りがあり
ません。効率や便利さを求めた結果の代償は計り知れないものがあります。
漢方では、自然や人の体質・体力の状態をよく陰・陽・虚・実と言う対照的分類方法で考えます。
陰は陽に対して陰気・寒い・暗いなど、陽は陰に対して陽気・暖かい・明るいなどの様子を表しま
す。虚は実に対して弱い・空虚など、実は虚に対して強い・充実などの状態を表します。
夏は陽実の状態になり、熱量も高く食物は腐ったり身体は化膿したりしやすくなります。夏の皮
膚病はアトピー性皮膚炎も含めて、汗疹のような赤い熱っぽい状態になっております。ましてや、
現在のような高カロリー・高脂肪の食生活では、身体の中も熱量が高く炎症が起こりやすくなっ
ております。
自然の中でも緑は環境を良くしてくれます。人の身体も同じで、野菜は血液をきれいにしてくれ
ます。できるだけ野菜を多く摂り、刺激物や糖分・動物性の高カロリー食品を控えることが大切
です。
夏型のアトピー性皮膚炎に対して、漢方薬は炎症や熱を鎮める黄連・黄柏・山梔子・薄荷などの
薬草をよく使用します。
アトピー性皮膚炎の項もご覧下さい
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自律神経失調症 (H16年6月25日掲載) |
昔から病は気からと申しますように、病気は自律神経のアンバランスから発生することが数多く
見受けられます。
人の神経系統は中枢神経(脳、脊髄神経)から末梢神経(脊髄から枝分かれした神経)に末梢
神経は体性神経と自律神経の二種類があります。体性神経には運動神経と知覚神経があり、
この神経系統は自分の意識で感じる神経のことを言います。
ところが、自律神経には交感神経と副交感神経があり、内臓器官やホルモンを分泌する内分泌
器官などにつながり自分の意思とは関係なく機能しております。
自律神経失調症は、この二つの神経バランスの不安定さから来る病気のことなのです。
交感神経と副交感神経は、単純には言えませんが、車で例えるとアクセルとブレーキの関係に
なっております。ストレスや体調の悪さなどから調整がうまく取れなくなり、自然とアクセルを踏み
すぎて動悸や、高血圧、発汗などの症状が出たり、ブレーキを踏みすぎて食欲不振、気力低下、
不安感になったりするのです。
ホルモンバランスの崩れによる更年期障害などは代表的なものですが、現代のストレス社会に
おいては老若男女を問わず現われる病気です。
漢方では『気』と言うものを非常に大切に考えています。気力を高める漢方薬、陽気をめぐらす
漢方薬、気を払う漢方薬、気のたかぶりを沈める漢方薬とそれぞれの役割を持った処方が古人
の知恵により作られております。
人間の能力は、昔も今も余り変わりませんが、スピードや情報量が余りにも違いすぎ付いていけ
なくなっているのではないでしょうか。
自律神経失調症の項もご覧下さい
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